商業 簿記 と 工業 簿記 の 違い を 徹底解説! これであなたもスッキリ理解!

「商業簿記」と「工業簿記」、どちらも「簿記」という名前がついていますが、一体何が違うのでしょうか? 実は、この二つは目的も対象も異なる、それぞれ独立した分野なのです。 商業簿記 と 工業 簿記 の 違い を理解することは、ビジネスの世界をより深く知る上でとても重要です。

目的で見る! 商業簿記 と 工業 簿記 の 違い

まずは、それぞれの「目的」に注目してみましょう。商業簿記は、主に外部の人たち、例えば投資家や銀行、税務署などに、会社の成績や財政状態を正確に伝えることを目的としています。つまり、「会社が今、どんな状況で、どれだけ儲かっているのか」を、みんながわかるように報告するためのものなんです。

一方、工業簿記は、会社の中の経営者や管理部門が、より良い経営判断をするために役立てることを目的としています。具体的には、製品を作るのにいくらかかったのか、どの部門がどれくらい儲かっているのか、などを詳しく分析して、コスト削減や生産効率の向上につなげていくのが特徴です。 この「社内向け」か「社外向け」かという目的の違いが、一番大きなポイント と言えるでしょう。

  • 商業簿記の主な目的
    • 財務諸表(損益計算書、貸借対照表など)の作成
    • 利害関係者(株主、債権者など)への情報開示
  • 工業簿記の主な目的
    • 原価計算によるコスト管理
    • 部門別採算管理
    • 将来の意思決定のための情報提供

対象となる取引の違い

次に、どのような「取引」を記録・分析するのか、という点でも違いがあります。商業簿記では、商品の仕入れや販売、経費の支払いなど、会社が外部との間で直接行う取引を中心に記録します。例えば、「商品を100円で仕入れて、150円で売った」といった、目に見える商品のやり取りが中心になります。

対して工業簿記では、商品そのものの仕入れ・販売に加えて、「製品を作る過程」で発生する様々なコストを詳細に記録・分析します。材料費、労務費(人件費)、製造経費(工場でかかる電気代や機械の減価償却費など)といった、製品を生み出すために必要なコストを細かく把握していくのです。

取引の対象例
商業簿記 商品の仕入れ・販売、サービスの提供、備品購入、家賃支払いなど
工業簿記 原材料の購入、製造部門の人件費、工場設備の減価償却費、製造間接費など

記録の細かさ・詳しさのレベル

記録する「細かさ」や「詳しさ」にも違いが見られます。商業簿記は、比較的シンプルな取引を、会社全体の視点から把握することが多いです。財務諸表を作るという最終的なゴールに向けて、必要な情報を集約していきます。

一方、工業簿記は、製品一つひとつや、製造工程の各段階にかかるコストを、より詳細に、細かく記録していく必要があります。例えば、ある製品を作るのに、どのような材料がどれだけ必要で、どれくらいの時間、どの作業員が関わったのか、といった情報を具体的に追跡します。 この詳細な記録が、コスト削減のヒントにつながる のです。

  1. 商業簿記

    会社全体の損益や財政状態を把握

  2. 工業簿記

    製品や製造工程ごとのコストを詳細に把握

分析の視点:外部か内部か

分析する「視点」も、商業簿記と工業簿記では異なります。商業簿記は、あくまで外部の人が会社の状況を理解しやすいように、客観的な情報を提供することに重きを置きます。そのため、会計基準などのルールに沿って、標準化された形で情報をまとめることが重要になります。

工業簿記では、経営者がより迅速かつ的確な意思決定を行えるように、社内向けの分析を行います。例えば、「この製品の価格は適正だろうか?」「もっと安く作る方法はないか?」といった、将来の経営戦略に関わる分析が中心となります。 社内の状況に合わせた、柔軟な分析が求められる のが特徴です。

仕訳の考え方

仕訳(取引を記録する作業)の考え方にも、両者の違いが表れます。商業簿記では、外部との取引を「借方」と「貸方」に分けて記録していきます。これは、財産の増減や、収益・費用の発生を、決まったルールに従って記録する作業です。

工業簿記では、商業簿記の仕訳に加えて、「製造活動」にかかるコストをどのように製品の原価に振り分けるか、という独特の仕訳が出てきます。例えば、工場で働く人たちの給料を、製品の原価として計上するための仕訳などです。 この「製造原価の計算」が、工業簿記の大きな特徴 の一つと言えます。

帳簿組織の違い

最終的に、どのような「帳簿」を使って記録していくか、という点でも違いがあります。商業簿記では、総勘定元帳や補助元帳といった、会社全体の取引を記録・管理するための帳簿が中心となります。

工業簿記では、それに加えて、製品ごとの原価を記録・管理するための「原価計算表」や「製造指図書」といった、より専門的な帳簿が使われます。これらの帳簿は、製品が作られる過程でのコストを細かく追跡するために不可欠です。 この詳細な管理ができる帳簿組織が、工業簿記を特徴づけています

このように、商業簿記と工業簿記は、それぞれ異なる目的、対象、分析の視点を持っています。しかし、どちらも企業の健全な経営を支えるために欠かせない、大切な役割を担っています。この二つの違いを理解することで、ビジネスの仕組みがよりクリアに見えてくるはずです。

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