バリアフリー と ユニバーサル デザイン の 違い を わかりやすく解説!

「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」という言葉、よく耳にしますよね。どちらも、すべての人にとって暮らしやすい社会を目指すための考え方ですが、実はそのアプローチに違いがあります。今回は、 バリアフリー と ユニバーサル デザイン の 違い を、皆さんがスッキリ理解できるように、具体例を交えながら分かりやすく説明していきます。

「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」の根本的な違い

まず、バリアフリーは、文字通り「バリア(障壁)」を「フリー(なくす)」にするための考え方です。つまり、これまで特定の人々(例えば、高齢者や障がいのある方)が困っていた「障壁」を取り除くことを目指します。例えば、段差をなくしたり、手すりを設置したりすることがこれにあたります。 この「障壁を取り除く」という部分が、バリアフリーの最も重要なポイントです。

一方、ユニバーサルデザインは、「すべての人」が最初から使いやすいように、最初からデザインするという考え方です。性別、年齢、国籍、障がいの有無にかかわらず、誰もが快適に利用できる製品や環境をデザインします。これは、バリアフリーのように「後から障壁を取り除く」のではなく、「最初から障壁を作らない」という積極的なアプローチと言えます。

バリアフリーとユニバーサルデザインを比較すると、以下のような違いが見られます。

  • バリアフリー:
    • 特定のニーズ(例:車椅子利用者)に対応
    • 後から改善・追加するアプローチ
    • 例:スロープ、手すり、点字ブロック
  • ユニバーサルデザイン:
    • すべての人(老若男女、障がいのあるなしなど)を対象
    • 最初から、誰にでも使いやすいように設計するアプローチ
    • 例:開けやすいペットボトルのキャップ、どこでも押せるボタン

ユニバーサルデザインが目指す「普遍性」

ユニバーサルデザインは、多様な人々が、特別な配慮なしに、快適に利用できることを目指します。これは、単に「障がいのある人」だけを対象にするのではなく、例えば「重い荷物を持っている人」「小さな子供を抱っこしている人」「一時的に怪我をしている人」など、一時的に困難を感じている人も含めた、あらゆる状況の人々を想定しています。

ユニバーサルデザインの7原則というものがあります。これは、

  1. 公平な利用:誰にでも公平に使えること。
  2. 使用の自由度:使う人の好みや能力に合わせて使えること。
  3. 簡単な利用:使うのに特別な知識や体力がいらないこと。
  4. 知覚可能な情報:必要な情報がどんな人にも伝わること。
  5. 許容できる誤り:間違えても、大きな問題にならないこと。
  6. 少ない身体的努力:無理なく、楽に使えること。
  7. 接近・利用の容易性:誰でも安全に、快適に近づき、利用できること。

といった、具体的な指針を示しています。これらの原則は、製品や建築、サービスなど、あらゆるものに適用されています。

例えば、自動ドアは、車椅子利用者だけでなく、両手がふさがっている人や、小さな子供でも通りやすいように設計されています。これは、ユニバーサルデザインの「接近・利用の容易性」の原則に合致しています。

バリアフリーが「個別の課題」に焦点を当てる理由

バリアフリーは、特定の障壁を解消することに重点を置きます。これは、それぞれの障壁が、特定の状況や身体的な特徴を持つ人々に、より深刻な困難をもたらすからです。例えば、階段は車椅子利用者にとっては大きな障壁ですが、健常者にとっては問題ありません。

バリアフリーの具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

対象 バリアフリーの例
車椅子利用者 スロープ、エレベーター、広い通路、多目的トイレ
視覚障がい者 点字ブロック、音声案内、触知案内
聴覚障がい者 手話通訳、筆談、字幕

これらの整備は、特定のニーズを持つ人々が、社会生活に参加するために不可欠です。 バリアフリーは、社会参加の機会を均等にするために、非常に重要な役割を果たします。

バリアフリーは、しばしば「弱者」とされる人々のためのもの、と捉えられがちですが、実際には、病気で一時的に移動が困難になった人や、高齢で体力に自信のない人など、多くの人にとっても恩恵をもたらします。例えば、駅のエスカレーターは、重い荷物を持っている人や、高齢者にとって非常に助かる設備ですよね。

両者の関係性:補完し合う存在

バリアフリーとユニバーサルデザインは、対立するものではなく、お互いを補完し合う関係にあります。ユニバーサルデザインの考え方で最初から設計されていれば、バリアフリーのための追加的な改修が不要になる場合も多いのです。

例えば、最初から段差のない店舗であれば、後からスロープを設置する(バリアフリー)必要がありません。これは、ユニバーサルデザインの「接近・利用の容易性」を最初から考慮しているからです。

しかし、世の中には、すでに存在する建物や製品が多くあります。それらをすべてユニバーサルデザインで最初から作り直すのは現実的ではありません。そのため、 既存の障壁を取り除くバリアフリーの取り組みも、依然として非常に重要です。

  • ユニバーサルデザイン:
    「最初から、すべての人に優しい」
  • バリアフリー:
    「既存の障壁を、対象者に応じて取り除く」

この両方の視点を持つことで、より包容力のある社会を築くことができるのです。

身近な「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」の例

私たちの身の回りには、バリアフリーとユニバーサルデザインの考え方が取り入れられたものがたくさんあります。意識して探してみると、その効果を実感できるはずです。

例えば、公共交通機関の案内表示。文字だけでなく、ピクトグラム(絵文字)が使われているのは、言葉が分からない人でも理解できるように、ユニバーサルデザインの考え方に基づいています。

また、駅のホームにある点字ブロックは、視覚障がいのある方にとって、安全に歩くためのバリアフリー対策です。これは、特定のニーズにきめ細かく対応するバリアフリーの代表例と言えるでしょう。

どちらの考え方も、最終的には「誰もが暮らしやすい社会」を目指すという共通の目標を持っています。それぞれの特性を理解し、両方の視点から物事を考えることが大切です。

まとめ:より良い社会のために

バリアフリーとユニバーサルデザインは、どちらも「すべての人」が、それぞれの個性や状況に合わせて、快適に、そして安全に暮らせる社会を作るための大切な考え方です。バリアフリーは「障壁を取り除く」、ユニバーサルデザインは「最初から使いやすくする」。この違いを理解することで、私たちが普段何気なく使っているものや、目にしているものが、どのような意図で作られているのかが見えてくるはずです。

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