整骨院と接骨院の違い、あなたの体はどっち？

「整骨院」と「接骨院」、どちらも体の不調を改善してくれるイメージはありますが、具体的に何が違うのでしょうか？実は、 整骨院と接骨院の違い は、受けられる施術の種類や対象となる症状にあります。この違いを理解することで、あなたの悩みに合った適切な場所を選ぶことができるようになりますよ。

「整骨院」と「接骨院」の基本的な違い

まず、一番大きな違いはその「法的根拠」と「施術できる範囲」です。接骨院は、柔道整復師という国家資格を持った人が、骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷といった、いわゆる「ケガ」の応急処置や、その後の回復を専門としています。例えば、スポーツで足をひねった、転んで腕を打った、といった急性の外傷に対して、手技療法（マッサージのようなもの）や固定（テーピングやギプス）などを行います。

一方、整骨院は、接骨院とほぼ同じ業務を行えますが、それに加えて「柔道整復師」の資格に加えて「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」「柔道整復師」といった複数の資格を持つ施術者がいる場合や、より広い範囲の体の不調に対応している場合があります。ただし、現在では「整骨院」という名称を使っているところでも、実際には柔道整復師のみが在籍し、接骨院と同様の施術を行っているケースがほとんどです。 そのため、両者の名称だけで施術内容を断定することは難しいのです。

接骨院： 主に急性のケガ（骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷）の施術
整骨院： 接骨院の施術に加え、場合によっては慢性的な肩こりや腰痛なども対応（※名称による違いは曖昧な部分も多い）

このように、名称に「整」が入っているか「接」が入っているかだけで、施術内容が大きく変わるわけではない、というところがポイントです。どちらも、患者さんの体に触れて施術を行う「施術所」であり、国家資格を持った施術者がいるという点では共通しています。

施術の対象となる症状について

「整骨院」と「接骨院」という名称の違いから、施術の対象となる症状にも違いがあるのか、という疑問が出てくるかもしれません。一般的に、接骨院では、前述したように、急性の外傷、つまり「ケガ」に特化した施術が中心となります。

例えば、以下のような症状で来院する方が多いです。

スポーツ中の捻挫
交通事故によるむちうち
日常生活での転倒による打撲
ぎっくり腰（急性の腰痛）
肩の脱臼

一方、整骨院は、名称のニュアンスから、より幅広い症状に対応しているイメージがあるかもしれません。しかし、実際には、多くの整骨院が接骨院と同様に、柔道整復師の資格を活かした外傷性の症状の施術を中心に、肩こりや腰痛といった慢性的な症状に対しても、手技療法などを組み合わせた施術を行っています。

症状の種類	接骨院での主な対応	整骨院での主な対応（※一般的な傾向）
急性のケガ（捻挫、打撲、挫傷など）	◎ （得意とする分野）	◎ （得意とする分野）
慢性的な肩こり・腰痛	△ （場合による）	〇（対応している場合が多い）
骨折・脱臼の応急処置	◎ （法律で認められている）	◎ （法律で認められている）

ですから、どちらの施設を選ぶにしても、まずは自分の症状がどちらの施設で対応可能か、事前に電話などで確認することが大切です。

国家資格「柔道整復師」について

「整骨院」と「接骨院」のどちらにも、 国家資格である「柔道整復師」 が関わってきます。この資格を持っていることが、これらの施設を開業したり、施術を行ったりするための絶対条件となります。

柔道整復師は、専門学校や大学で解剖学、生理学、病理学などの基礎医学に加え、柔道整復学という専門分野を学び、国家試験に合格した人だけが取得できる資格です。彼らは、骨や関節、筋肉などの運動器系の損傷に対して、手術をしない「保存療法」というアプローチで、患者さんの回復をサポートします。

手技療法： 筋肉や関節の動きを改善するためのマッサージやストレッチ
物理療法： 電気治療や温熱療法など
運動療法： 機能回復のためのトレーニング指導
整復法： 骨折や脱臼を元の位置に戻す技術
固定法： 患部を安定させるためのテーピングやギプス固定

これらの施術を、患者さんの状態に合わせて適切に行うことができるのが柔道整復師です。 だからこそ、「整骨院」「接骨院」と名乗るためには、必ず柔道整復師の資格を持つ施術者がいることが保証されているのです。

保険適用について

「整骨院」「接骨院」にかかる費用が、健康保険でカバーされるのかどうか、という点も気になるところですよね。 結論から言うと、保険が適用されるケースとされないケースがあります。

保険が適用されるのは、基本的に 「骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷」といった、急性の外傷によるもの です。例えば、交通事故やスポーツでの怪我、転倒による怪我などがこれに当たります。ただし、骨折や脱臼については、応急処置を除いて医師の同意が必要となる場合もあります。

一方で、慢性的な肩こりや腰痛、疲労、単なる体の疲れなど、明確な外傷性の原因がないものについては、原則として健康保険の適用外となります。これらは、いわゆる「保険外診療」となり、全額自己負担となります。

以下に、保険適用の目安をまとめました。

保険適用：
- 急性のケガ（捻挫、打撲、挫傷など、原因がはっきりしているもの）
- 骨折、脱臼の応急処置（医師の同意があれば、その後の施術も）
保険適用外（自費診療）：
- 慢性的な肩こり、腰痛（原因が特定できない場合）
- 疲労、体のメンテナンス
- 症状の改善が見られない、慰安目的のマッサージ

保険適用かどうかは、施術を受ける前に必ず確認しましょう。

施術内容の違い（具体例）

「整骨院」と「接骨院」の名称の違いだけでは、施術内容を正確に判断しにくいことをお伝えしましたが、一般的にどのような施術が行われるのか、具体例を挙げてみましょう。

接骨院では、まず問診でケガの状況を詳しく聞き、視診・触診で患部の状態を確認します。そして、レントゲンなどの画像診断が必要な場合は、専門医を紹介することもあります。施術としては、

患部の炎症を抑えるための冷却
腫れや痛みを和らげるための手技療法
骨折や脱臼の整復
患部の安静を保つためのテーピングや包帯、ギプスによる固定
リハビリテーション（運動療法）

などが行われます。 つまり、ケガの初期対応から回復までをトータルでサポートするのが接骨院の役割と言えます。

一方、整骨院では、接骨院が行う施術に加えて、より広い範囲の身体の悩みに対応している場合があります。例えば、

慢性的な症状の緩和： 長年の肩こりや腰痛に対して、筋肉の緊張をほぐす手技療法や、姿勢の改善指導。
全身のバランス調整： 骨盤の歪みなどを調整し、体のバランスを整える施術。
リラクゼーション： 疲労回復やストレス解消を目的とした、心地よいマッサージ。

このように、整骨院では、ケガの施術だけでなく、日常生活での体の不調や、より快適な毎日を送るためのケアも提供していることがあります。

どっちを選ぶべき？症状別アドバイス

「整骨院」と「接骨院」の違いがなんとなく分かってきたところで、では、自分の症状に合わせてどちらを選べば良いのか、具体的なアドバイスをさせていただきます。

もし、あなたが

スポーツをしていて、急に足首をひねった
階段から落ちて、腕を打ってしまった
交通事故で、首が痛む（むちうち）
ぎっくり腰になってしまった

といった、 「いつ、どこで、どのようにして痛めたか」がはっきりしている、いわゆる「ケガ」をしてしまった場合 は、まずは「接骨院」または「整骨院」へ相談してみるのが良いでしょう。これらの施設は、柔道整復師の専門分野である急性の外傷の施術を得意としています。

一方、

長年、慢性的な肩こりに悩んでいる
デスクワークで腰が重い、痛い
特に怪我をした覚えはないけれど、体がだるい
姿勢を良くしたい

といった、 原因がはっきりしない、または慢性的な症状 の場合は、整骨院に相談してみるのがおすすめです。多くの整骨院では、慢性的な症状に対しても、筋肉の緩和や体のバランス調整といったアプローチで施術を行っています。

ただし、繰り返しますが、名称だけで判断せず、事前に電話などで問い合わせて、自分の症状に合った施術が可能か確認することが最も重要です。

まとめ：あなたの体に合った場所を見つけよう！

「整骨院」と「接骨院」の具体的な違いについて、ここまで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか？ 一番大切なのは、名称よりも「どのような症状で困っているか」ということです。 どちらの施設も、国家資格を持った施術者が、あなたの体の悩みに寄り添ってくれます。

もし、急性のケガをしてしまったら、まずは接骨院や整骨院で相談してみてください。慢性的な体の不調で悩んでいる場合も、多くの整骨院で対応しています。迷ったときは、遠慮なく電話で問い合わせて、あなたの症状に最適な施術を受けられる場所を見つけてくださいね。