有給 と 有休 の 違い:知っておきたい、あなたの権利

「有給」と「有休」、この二つの言葉、実はほとんど同じ意味で使われることが多いのですが、厳密には少しニュアンスが違います。この記事では、「有給 と 有休 の 違い」を分かりやすく解説し、皆さんがこれらの権利をしっかり理解できるようにお手伝いします。

「有給」と「有休」:基本のキ

「有給」という言葉は、労働基準法で定められている「年次有給休暇」のことを指します。これは、働いている人が心身のリフレッシュや、私用で休む際に、給料をもらいながら休める制度のことです。一方、「有休」は、この「年次有給休暇」を略した、より日常的で親しみやすい言葉として使われています。

つまり、 「有給」は法律で定められた正式名称であり、「有休」はその愛称のようなもの だと考えてください。どちらを使っても意味は通じますが、公的な書類や法律の話をする際には「有給休暇」という正式名称を使うのが一般的です。日常会話では「有休」で全く問題ありません。

  • 年次有給休暇 :法律で定められた正式名称
  • 有休 :年次有給休暇の略称、日常会話でよく使われる

では、具体的にどのような人が、どれくらいの期間、有給休暇を取得できるのでしょうか。これは、働き方や勤続年数によって異なります。

  1. 付与日数
    • パートやアルバイトでも、一定の条件を満たせば有給休暇は発生します。
    • フルタイムで働く人は、勤続年数に応じて付与日数が変わります。
  2. 取得義務
    • 会社によっては、有給休暇の取得を促すための計画的な取得制度(計画的付与)があります。
勤続年数 年次有給休暇日数
6ヶ月 10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
... ...

有給休暇の取得方法

「有休、取りたいんだけど、どうすればいいの?」そう思っている人もいるかもしれません。有給休暇を取得する際の基本的な流れは、多くの会社で共通しています。

まず、 休暇を取得する意思を明確に伝えることが大切 です。これは、口頭でも構いませんが、後々のトラブルを防ぐためにも、会社のルールに従って、所定の申請用紙に記入したり、システムで申請したりするのが一般的です。

申請する際には、いつからいつまで休みたいのか、具体的に伝える必要があります。また、会社によっては、業務に支障が出ないように、事前に上司に相談したり、同僚に業務の引き継ぎをお願いしたりすることも重要です。

  1. 事前相談 :直属の上司に、いつ頃休みたいか相談する。
  2. 申請手続き :会社の定める方法(申請用紙、システムなど)で正式に申請する。
  3. 業務の引き継ぎ :不在中の業務が滞らないよう、同僚に協力をお願いする。

有給休暇と病欠・忌引の違い

有給休暇は、病気や怪我で休む場合にも利用できます。しかし、病欠や忌引(親族が亡くなった際の休暇)とは、性質が異なります。

病欠 は、病気や怪我で働けない場合に、その日だけ休むことを指し、給料が出るかどうかは会社の規定によります。一方、 忌引 も、親族の不幸があった際に取得できる休暇で、これも給料の有無や日数は会社によって異なります。

有給休暇は、これらの理由に関わらず、労働者の権利として与えられているものです。ですので、病気で休む場合でも、有給休暇を申請することで給料をもらいながら休むことができます。ただし、 会社によっては、病気や怪我で長期にわたって休む場合、有給休暇とは別に傷病手当金などの制度が利用できることもあります。

  • 有給休暇 :労働者の権利、給料あり
  • 病欠 :病気で休む、給料は会社規定による
  • 忌引 :親族の不幸で休む、給料は会社規定による

有給休暇の消滅と繰り越し

「あれ?去年の有給、まだ残ってたはずなのに…」なんて経験はありませんか?有給休暇には、実は有効期限があります。

年次有給休暇は、原則として2年間で消滅します。つまり、付与された日から2年以内に使わないと、その分は失われてしまうのです。 「もったいないから」といって貯め込まず、計画的に使うことが大切 です。

ただし、会社によっては、法律で定められた日数を超えて付与している場合や、繰り越しを認めている場合もあります。これらは会社の就業規則で確認することができます。

休暇の種類 消滅までの期間
年次有給休暇 付与から2年

もし、2年以内に使いきれない場合は、一部を翌年に繰り越せるかどうか、会社の制度を確認してみましょう。

有給休暇の買い取りは?

「使いきれなかった有給休暇、買い取ってもらえないかな?」と思う人もいるかもしれませんが、原則として、 労働基準法では有給休暇の買い取りは認められていません。

これは、有給休暇が労働者の心身の健康を保ち、リフレッシュするための権利だからです。つまり、使うことが前提の制度なのです。もちろん、退職する際に、未使用の有給休暇が残っていた場合には、会社との合意があれば買い取ってもらえるケースもありますが、これは法律で義務付けられているわけではありません。

時効について

有給休暇の請求権には、時効があります。これは、請求できる期間が決まっているということです。

原則として、 有給休暇の取得権は2年間 です。これは、先ほど説明した「消滅」と同じ意味合いです。つまり、2年を過ぎると、その有給休暇を取得する権利はなくなってしまいます。そのため、計画的に休暇を取得することが、非常に重要になってきます。

もし、会社が正当な理由なく有給休暇の取得を拒否した場合、会社に対して損害賠償などを請求できる権利が発生することもあります。しかし、これはあくまで例外的なケースであり、まずは円滑なコミュニケーションを通じて休暇を取得することが望ましいでしょう。

まとめ

「有給」と「有休」、どちらも年次有給休暇のことを指す言葉ですが、その違いを理解することは、自分の権利をしっかり守る上でとても大切です。有給休暇は、働く私たちにとって、心と体を休ませ、リフレッシュするための貴重な権利です。ぜひ、この記事を参考に、計画的に有給休暇を取得し、充実した毎日を送ってください。

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