CTとMRIの違いは?画像診断の疑問をスッキリ解説!

「CTとMRIの違いは?」と疑問に思っているあなたへ。この二つの画像診断は、どちらも体の内部を詳しく見ることができるすごい技術ですが、実はそれぞれ得意なことや仕組みが違います。ここでは、CTとMRIの違いを分かりやすく、そして「なぜこの違いが重要なのか」まで、徹底的に解説していきますね!

CTとMRI、根本的な仕組みの違い

CT(コンピューテッドトモグラフィー)とMRI(磁気共鳴画像法)の最大の違いは、画像を作るために使われる「エネルギー」です。CTはX線を、MRIは強力な磁場と電波を使います。この根本的な違いが、それぞれ得意とする検査対象や得られる情報の質に大きく影響してくるのです。 この違いを理解することが、CTとMRIの使い分けを理解する上で最も重要です。

CTはX線を体の周りから当て、透過したX線の量をコンピューターで解析して断面画像を作り出します。骨のようにX線を通しにくいものは白く、空気のように通しやすいものは黒く写ります。だから、骨折や出血などの急性の病変、肺や腹部の検査でよく使われるんですよ。

一方、MRIは強力な磁石で体の水分(特に水素原子)の原子核を同じ向きに揃え、そこに電波を当てて、元に戻る時の信号を捉えて画像にします。そのため、骨で覆われている部分の内部や、軟らかい組織(脳、筋肉、靭帯など)の情報を細かく見ることが得意です。造影剤を使わなくても、血管の状態をきれいに描出できるのもMRIの大きな特徴です。

まとめると、

  • CT: X線使用、骨や急性の出血に強い
  • MRI: 磁場と電波使用、軟部組織や慢性的な変化に強い

検査にかかる時間と患者さんの負担

CT検査は、一般的にMRI検査よりも短時間で終わります。数秒から数十秒で撮影が完了することも珍しくありません。そのため、緊急性が高い場合や、じっとしているのが難しいお子さん、閉所が苦手な方などにはCTが選ばれることが多いです。X線を浴びることになるので、被ばくはありますが、必要最小限の線量で行われています。

対してMRI検査は、撮影に時間がかかります。部位にもよりますが、数十分から1時間程度かかることもあります。検査中は、強力な磁場の中で大きな音(ドンドン、ガンガンといった機械音)がするため、耳栓やヘッドホンが用意されます。また、MRI装置は筒状になっているため、閉所恐怖症の方には負担になることもあります。しかし、MRIはX線被ばくがないため、妊娠中の方や繰り返し検査を受ける必要がある方にとっては、より安全な選択肢となる場合があります。

検査時間の違いは、以下のような表でまとめられます。

検査方法 検査時間 被ばく
CT 短い (数秒〜数分) 静か あり (X線)
MRI 長い (数十分〜1時間) 大きい (機械音) なし

画像から得られる情報

CTとMRIでは、それぞれ得意な「見え方」があります。CTは、骨や空気、出血などが白くくっきりと写るため、骨折の有無や、脳出血、肺の病変(肺炎、腫瘍など)の診断に非常に優れています。また、造影剤を使うことで、血管の詰まりや腫瘍の血流などを詳しく見ることができます。

一方、MRIは、水分を多く含む軟らかい組織(脳、脊髄、筋肉、靭帯、関節など)のコントラスト(色の違い)が非常に高く、病変の有無や広がりを詳細に捉えることができます。例えば、脳腫瘍や脳梗塞の早期発見、椎間板ヘルニアや半月板損傷といった整形外科的な疾患の診断に威力を発揮します。MRIの撮影方法を工夫することで、様々な角度からの断層画像や、血管だけを強調した画像なども得ることができます。

得られる情報の違いについて、いくつかの例を挙げてみましょう。

  • CTが得意なこと: 骨折、急性期の脳出血、肺の病変、腹部の臓器(肝臓、腎臓など)
  • MRIが得意なこと: 脳腫瘍、脳梗塞、脊髄疾患、関節(靭帯、軟骨)、筋肉の損傷

どんな時にどちらの検査が選ばれる?

「CTとMRIの違いは?」という疑問の答えは、結局のところ「何を見たいか」によって決まってきます。例えば、交通事故などで頭を打った場合、まずは脳内出血の有無を迅速に確認するためにCT検査が行われることが多いです。骨折の疑いがある場合も、CTの方が骨の状態を把握しやすいので選ばれる傾向があります。

一方で、頭痛やめまいといった症状が続く場合、脳腫瘍や慢性的な脳梗塞の有無などを詳しく調べるためにMRI検査が行われます。また、スポーツで膝を痛めた場合や、腰の痛みが長引く場合など、関節や筋肉の状態を詳しく見たいときにはMRIが非常に有効です。医師は、患者さんの症状や病歴、疑われる病気によって、最適な検査方法を選択します。

検査の選択肢として、以下のような流れで考えると分かりやすいかもしれません。

  1. 緊急で、骨や出血を見たい → CT
  2. ゆっくり時間をかけて、軟らかい組織や細かい変化を見たい → MRI
  3. 妊娠中、または被ばくを避けたい → MRI

造影剤の使用について

CTやMRIでは、より詳しく病変を見つけるために「造影剤」というお薬を使うことがあります。造影剤を点滴で体に入れると、特定の組織や血管に集まり、画像上で白く強調されて写ります。これにより、病変の場所や広がり、血流の状態などをより鮮明に把握することができます。

CTで使われる造影剤は、ヨード造影剤と呼ばれるものが一般的です。MRIで使われる造影剤は、ガドリニウム造影剤と呼ばれるもので、CTとは種類が異なります。どちらの造影剤も、アレルギー反応を起こす可能性がゼロではありません。そのため、検査前にはアレルギーの有無などを確認する問診が行われます。また、腎臓の機能が低下している方には、使用に注意が必要な場合もあります。

造影剤を使うかどうかの判断は、検査の目的によって異なります。例えば、

  • CTで血管を見たい(CTアンギオグラフィー) → 造影剤を使うことが多い
  • MRIで脳腫瘍の広がりを見たい → 造影剤を使うことが多い

造影剤を使わない場合でも、病変によっては十分な情報が得られることもあります。医師は、検査のメリット・デメリットを考慮して、造影剤の使用を判断します。

それぞれの検査のメリット・デメリット

CTとMRIには、それぞれに優れた点と、注意すべき点があります。CTの最大のメリットは、そのスピードと、骨や急性出血の描出能力の高さです。緊急時にも迅速に対応でき、様々な部位の検査に広く使えます。しかし、X線被ばくがあること、軟部組織の描出能力はMRIに劣ることがデメリットとして挙げられます。

一方、MRIはX線被ばくがなく、軟部組織の描出能力に非常に優れているのが最大のメリットです。脳や関節、筋肉などの詳細な検査に適しています。しかし、検査に時間がかかること、装置の音が大きく閉所恐怖症の方には負担になること、金属類(ペースメーカーなど)を体内に装着している方は検査を受けられない場合があることがデメリットとなります。

それぞれのメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

メリット デメリット
CT
  • 検査が速い
  • 骨や急性出血に強い
  • 比較的安価
  • X線被ばくがある
  • 軟部組織の描出はMRIに劣る
MRI
  • X線被ばくがない
  • 軟部組織の描出に優れる
  • 造影剤なしでも血管を描出できる場合がある
  • 検査に時間がかかる
  • 装置の音が大きい
  • 閉所恐怖症の方には負担
  • 金属類(ペースメーカーなど)に制限がある

このように、CTとMRIはどちらも素晴らしい画像診断技術ですが、得意とする分野が異なります。どちらの検査が適切かは、患者さんの状態や、医師が何を知りたいかによって決まるのです。

「CTとMRIの違いは?」という疑問、少しはクリアになったでしょうか?どちらの検査も、私たちの健康を守るために欠かせない大切な技術です。それぞれの特徴を理解することで、より安心して検査を受けることができるはずです。もし分からないことがあれば、遠慮なく医師や検査技師に質問してみてくださいね!

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