「保証人」と「連帯保証人」、どちらも借金などを返済できなくなった時に代わりに支払う責任を負う人ですが、実はその責任の重さには大きな違いがあります。 この「保証人 と 連帯保証人 の 違い」をしっかり理解することは、いざという時に予期せぬトラブルに巻き込まれないために非常に重要です。
保証人と連帯保証人の大きな違い:責任の範囲
まず、一番大きな違いは、借金をした人(債務者)が返済できなくなった時に、保証人や連帯保証人がどのような責任を負うかという点です。保証人は、債務者が返済できないことが確定した上で、債権者(お金を貸した側)に「まずは債務者本人に請求してください」と伝える権利(催告の抗弁権)や、債務者が持っている財産があれば、まずその財産で返済してもらう権利(検索の抗弁権)があります。つまり、保証人は、債務者本人ではどうにもならない場合に、最後の砦として登場するイメージです。
一方、連帯保証人は、これらの「まずは債務者本人に請求してください」といった権利を一切持っていません。債務者が返済できなくなった時点で、債権者は連帯保証人に直接、残りの借金全額の支払いを請求することができます。まるで、債務者本人と同じように、無条件で借金を返済する義務を負うのです。この点が、保証人との決定的な違いと言えるでしょう。
- 保証人:
- 催告の抗弁権(債務者本人への請求を優先させる権利)がある。
- 検索の抗弁権(債務者の財産からの回収を優先させる権利)がある。
- 返済義務は、債務者本人ではどうにもならない場合に発生する。
- 連帯保証人:
- 催告の抗弁権、検索の抗弁権がない。
- 債務者本人と同様に、借金全額の返済義務を負う。
連帯保証人が背負う重い責任
連帯保証人は、名前の通り「連帯して」責任を負うため、その責任は非常に重いものになります。例えば、友人が数千万円の借金を抱えて返済できなくなった場合、連帯保証人であるあなたは、その借金全額を請求される可能性があります。たとえ、あなたが普段からその友人を助けてあげたいと思っていても、連帯保証人になったことで、自身の生活が破綻してしまうほどのリスクを負ってしまうことも少なくありません。
さらに、連帯保証人は、債務者本人と連帯して保証するわけですから、債務者本人が複数の連帯保証人を立てている場合、債権者はそのうちの一人、あるいは全員に借金の返済を求めることができます。これは、債権者にとっては、より確実に借金を回収できる可能性が高まるというメリットがあるため、連帯保証人を求めるケースが多いのです。
- 債務者が返済不能になる。
- 債権者が連帯保証人に全額返済を請求する。
- 連帯保証人は、債務者本人の財産状況などに関わらず、支払う義務がある。
保証人になることのメリット・デメリット
保証人になることには、もちろんメリットもあります。例えば、家族や親しい友人が、どうしても保証人が必要で困っている場合に、力になってあげることができます。誰かを支えることができるという満足感は、大きなものでしょう。
しかし、デメリットはそれ以上に大きいと言えます。先述の通り、連帯保証人になってしまうと、債務者本人の状況次第で、自身の生活が大きく脅かされる可能性があります。借金の返済だけでなく、延滞損害金や訴訟費用など、予期せぬ費用が発生することもあります。
| メリット | 大切な人を助けられる |
|---|---|
| デメリット | 返済義務を負う、生活が圧迫されるリスク |
連帯保証人になる前に確認すべきこと
もし、保証人や連帯保証人を頼まれた場合、安易に引き受けるのではなく、必ず以下の点を確認しましょう。
- 誰の、どのような内容の借金か: 金額、返済期間、利息などを正確に把握しましょう。
- 返済計画は現実的か: 借りた本人が、本当に返済していける計画なのか、冷静に判断しましょう。
- 万が一の場合の覚悟: 自分が代わりに返済することになったら、どの程度まで負担できるのか、現実的なラインを考えましょう。
- 連帯保証人ではないか: 「保証人」と「連帯保証人」の違いを再度確認し、自分がどちらの立場になるのかを明確にしましょう。
保証人・連帯保証人との契約で注意すべき点
契約書にサインをする前には、必ず内容を隅々まで確認しましょう。特に、「連帯保証」という言葉が使われている場合は、その重みを理解しておく必要があります。不明な点があれば、遠慮なく相手に質問し、納得いくまで説明を受けましょう。
また、弁護士や司法書士などの専門家に相談することも、賢明な判断です。専門家は、契約内容のリスクを客観的に評価し、適切なアドバイスをしてくれます。
- 契約書を隅々まで読む。
- 「連帯保証」の言葉に注意する。
- 不明な点は必ず質問する。
- 必要であれば専門家に相談する。
保証人・連帯保証人になった後の対応
もし、残念ながら債務者が返済できなくなってしまった場合、保証人や連帯保証人として、債権者からの請求に対応する必要があります。まずは、感情的にならず、冷静に状況を把握することが大切です。
連帯保証人になってしまった場合は、残念ながら、債務者本人に請求がいくのを待つことはできません。債権者と誠実に話し合い、返済計画について相談することが重要です。分割払いや、返済額の減額など、可能な限り現実的な解決策を見つけましょう。
- 冷静に状況を把握する。
- 債権者と誠実に話し合う。
- 返済計画について相談する。
まとめ:知ることが、自分を守ることにつながる
「保証人 と 連帯保証人 の 違い」を理解することは、決して難しいことではありません。しかし、その違いを知っているかどうかで、将来的に背負うことになる責任の重さが大きく変わってきます。誰かのために保証人や連帯保証人になることは、大きな責任を伴う行為です。安易に引き受けるのではなく、しっかりと内容を理解し、自分自身の生活を守るためにも、慎重な判断を心がけましょう。