「定期預金」と「定額預金」、どちらも普通預金よりも高い金利でお金を増やせる便利な貯蓄方法ですが、実はいくつか大切な違いがあります。この二つの違いをしっかりと理解することで、あなたのお金をより賢く、効果的に運用できるようになります。今回は、そんな「定期預金と定額預金の違い」を分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
【基本】「定期預金」と「定額預金」の根本的な違い
まず、一番大きな違いは「預け入れる金額」に対する考え方です。定期預金は、あらかじめ決めた満期日と金利で、まとまった金額を預け入れる方法です。例えば、「100万円を1年間、年利0.1%で預ける」というように、契約時に金額が固定されます。 この「金額が固定される」という点が、定期預金の最大の特徴と言えるでしょう。
一方、定額預金は、毎月一定額を自動的に預け入れていく方法です。例えば、「毎月3万円を3年間、金利〇%で積み立てる」といった具合に、少しずつお金を増やしていくイメージです。定期預金のように最初から大きな金額を預け入れる必要がないため、無理なく貯蓄を続けやすいというメリットがあります。
ここで、それぞれの特徴を簡単に表にまとめてみましょう。
| 項目 | 定期預金 | 定額預金 |
|---|---|---|
| 預け入れ方法 | まとまった金額を一度に預け入れる | 毎月(または定期的に)一定額を積み立てる |
| 金額の固定 | 契約時に金額が固定される | 毎月の積立額が固定される |
| 手軽さ | ある程度のまとまった資金が必要 | 少額から始めやすい |
金利の仕組み:どこが違うの?
金利の仕組みも、両者には違いがあります。定期預金の場合、預け入れた金額に対して、契約時に決められた金利が満期まで適用されます。もし途中で一部引き出しをした場合、その引き出し部分については、普通預金並みの低い金利になるか、場合によっては金利がつかなくなることもあります。
対して定額預金では、毎月積み立てた金額それぞれに、その時点での金利が適用されるのが一般的です。つまり、早く積み立てたお金ほど、長い期間金利がつくことになるため、全体としてより多くの利息を得られる可能性が高まります。
具体的に考えてみましょう。
- 定期預金: 100万円を1年定期で預け入れた場合、1年間はずっと同じ金利で計算されます。
- 定額預金: 毎月3万円ずつ1年間積み立てた場合、1ヶ月目に預け入れた3万円には12ヶ月分の金利、2ヶ月目に預け入れた3万円には11ヶ月分の金利…というように、それぞれに金利が計算されます。
このように、定額預金の方が、複利効果(利息が元本に組み込まれて、さらに利息がつくこと)をより活かしやすいと言えるでしょう。
満期時の取り扱い:いつ、どうなる?
満期時の取り扱いにも違いがあります。定期預金は、満期になると、預け入れていた元本と利息が、あらかじめ指定した口座(普通預金口座など)に自動的に払い戻されるのが一般的です。そのまま、また同じ条件で預け直す「自動継続」を設定することもできます。
定額預金の場合も、満期になると元本と利息が払い戻されます。ただし、定額預金は満期が設定されている場合と、満期がなく、自分で解約するまで積み立て続けるタイプのものがあります。このあたりは、金融機関や商品によって異なるので、契約時に確認することが大切です。
満期時の選択肢について、以下にまとめました。
- 満期時に自動で普通預金口座などに払い戻される。
- 満期時に自動で同じ条件で再預け入れ(自動継続)される。
- 満期になったら、自分で解約手続きをする必要がある。
特に、自動継続を設定しておくと、うっかり満期を過ぎてしまい、普通預金並みの低金利になってしまうのを防ぐことができます。
途中解約:いくらまで大丈夫?
急な出費などで、どうしても預けていたお金を引き出したい!という場合、途中解約について知っておくことも重要です。定期預金は、原則として満期までお金を引き出すことができません。もし途中で解約する場合、それまでに付いた利息は、普通預金並みの金利で計算されることがほとんどです。
定額預金も、基本的には満期まで積み立てたお金を引き出すことはできません。ただし、一部の金融機関では、積み立てた金額の一部を途中解約できる「一部解約」ができる商品もあります。これは、定期預金よりも柔軟性が高いと言えるかもしれません。
途中解約の注意点は以下の通りです。
- 定期預金: 途中解約すると、利息が大幅に減ることが多い。
- 定額預金: 商品によっては、一部解約が可能な場合がある。
「急にお金が必要になるかもしれない」という可能性がある場合は、途中解約の条件を事前に確認しておくことが非常に重要です。
どんな人におすすめ?使い分けのポイント
では、具体的にどのような人には、それぞれどちらの預金が向いているのでしょうか。これまでの説明を踏まえて、使い分けのポイントを見ていきましょう。
定期預金がおすすめな人:
- まとまった資金がある人。
- 将来の特定の目的(住宅購入の頭金、車の購入費用など)のために、計画的に貯蓄したい人。
- 一度預けたら、満期まで原則として手をつけずに運用したい人。
定額預金がおすすめな人:
- 毎月少しずつでも、着実に貯蓄を増やしていきたい人。
- 給料から天引きで貯蓄するなど、自動的に貯めていきたい人。
- まとまった資金はないけれど、将来のためにコツコツお金を貯めたい人。
例えば、ボーナスがまとまって入ったときに、それを定期預金に預け入れる、という使い方。そして、毎月の給料から少しずつ、決まった額を定額預金に積み立てていく、というように、両方を組み合わせて使うのも賢い方法です。
あなたのライフスタイルや貯蓄の目的に合わせて、最適な方を選びましょう。
まとめ:賢い貯蓄は「違い」を知ることから
「定期預金」と「定額預金」、それぞれの「違い」について詳しく見てきました。どちらも普通預金より金利がお得ですが、預け入れ方法や金利の計算方法、途中解約のしやすさなどに違いがあります。これらの違いを理解し、ご自身の貯蓄の目的やライフスタイルに合わせて上手に使い分けることが、賢い貯蓄への第一歩です。