コマンドラインの世界へようこそ!ここでは、ファイルやフォルダを扱う上で欠かせない「md」と「cd」という二つのコマンドについて、その違いを分かりやすく解説します。 md と cd の違い を理解することは、パソコン操作の効率を格段にアップさせる第一歩です。
「md」でフォルダを作る!「cd」で移動する!
まず、一番分かりやすい「md」と「cd」の根本的な違いから見ていきましょう。「md」は「Make Directory」の略で、新しいフォルダ(ディレクトリ)を作成するためのコマンドです。一方、「cd」は「Change Directory」の略で、今いるフォルダから別のフォルダへ移動するためのコマンドです。まるで、新しい部屋を作るのが「md」、その部屋へ入るのが「cd」というイメージですね。
具体的に見てみると、例えば「新しいプロジェクト」という名前のフォルダを作りたいときは、「md 新しいプロジェクト」と入力します。これで、カレントディレクトリ(今いる場所)に「新しいプロジェクト」というフォルダが新しく作成されます。一方、作成した「新しいプロジェクト」フォルダに入りたいときは、「cd 新しいプロジェクト」と入力するのです。
このように、「md」は「作る」という動作、「cd」は「移動する」という動作を担っています。この二つをセットで使うことで、コンピュータの中に効率的にファイルやフォルダを整理していくことができます。
- md : 新しいフォルダを作成する
- cd : フォルダを移動する
md コマンドでフォルダを「作成」する
「md」コマンドの役割は、シンプルに新しいフォルダを作ることです。例えば、デスクトップで作業しているときに、新しい写真フォルダを作りたいとしましょう。その場合、コマンドプロンプトやターミナルを開き、「md 写真」と入力すれば、デスクトップ上に「写真」という名前のフォルダが作成されます。
この「md」コマンドには、いくつかの便利な使い方があります。例えば、複数のフォルダを一度に作成することも可能です。「md 資料1 資料2 資料3」のように、フォルダ名をスペースで区切って入力すれば、それぞれの名前でフォルダが作成されます。これは、プロジェクトの準備などで、関連するフォルダをまとめて作りたいときに非常に役立ちます。
また、階層構造を持つフォルダを一度に作成することもできます。例えば、「ドキュメント」フォルダの中に「レポート」フォルダを作り、さらにその中に「下書き」フォルダを作りたい場合、「md ドキュメント\レポート\下書き」のように、パスを指定して作成できます。これにより、複雑なフォルダ構成も効率的に構築できます。
| コマンド | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| md | 新しいディレクトリ(フォルダ)を作成する | md 新フォルダ名 |
| md フォルダA フォルダB | 複数のフォルダを同時に作成する | md 春 夏 秋 冬 |
| md パス\サブフォルダ | 指定したパスにフォルダを作成する | md Documents\Reports |
cd コマンドで「移動」する
「cd」コマンドは、コンピュータ内のさまざまな場所を移動するための鍵となります。今、自分がどのフォルダにいるのか(カレントディレクトリ)を意識しながら、目的のフォルダへ移動していくことが重要です。
例えば、先ほど「md 写真」で作成したフォルダに移動したい場合は、「cd 写真」と入力します。これで、カレントディレクトリが「写真」フォルダに変わります。もし、さらにその「写真」フォルダの中に「2023年」というフォルダを作って、そこへ移動したいなら、まず「md 2023年」と入力してフォルダを作成し、その後「cd 2023年」と入力します。
「cd」コマンドの便利な機能として、「..」(ドットドット)があります。これは、一つ上の階層のフォルダに戻ることを意味します。例えば、「写真」フォルダの中にいたとして、「cd ..」と入力すると、一つ前の階層、つまり「写真」フォルダの親フォルダへ戻ることができます。これは、迷子になったり、目的のフォルダから離れすぎたりしたときに、元の場所へ戻るのに役立ちます。
- 現在いるフォルダから別のフォルダへ移動する
- 「..」を入力すると、一つ上の階層へ移動する
- 「cd 」(cd の後にスペース)だけで入力すると、ホームディレクトリ(ユーザーの初期フォルダ)に戻ることができる(環境による)
md と cd を組み合わせて使う
「md」と「cd」は、単独でも機能しますが、これらを組み合わせることで、より高度なフォルダ管理が可能になります。例えば、新しいプロジェクト用のフォルダを作成し、すぐにそのフォルダ内で作業を開始したい場合などが考えられます。
手順としては、まず「md プロジェクトA」のようにして新しいフォルダを作成します。次に、「cd プロジェクトA」と入力して、新しく作成したフォルダに移動します。これで、あなたは「プロジェクトA」フォルダの中にいる状態となり、その中で新しいファイルを作成したり、他のコマンドを実行したりすることができます。これは、作業を始める前に、まず整理された環境を整えるという、非常に基本的ながら重要なステップです。
このように、「md」で目的の場所を作り、「cd」でその場所へ移動するという流れは、コマンドライン操作の基本中の基本です。この二つのコマンドを使いこなせるようになると、ファイル整理のスピードが劇的に向上し、コマンドラインでの作業がよりスムーズになります。
以下に、md と cd を組み合わせて使う際の代表的なシナリオをまとめました。
- 新しいプロジェクトフォルダを作成し、その中に移動する
- 一時的な作業フォルダを作成し、作業が終わったら親フォルダへ戻る
- 既存のフォルダ構造をたどりながら、新しいサブフォルダを作成していく
md コマンドの「/d」オプション
「md」コマンドには、実は少し高度な使い方ができる「/d」というオプションがあります。これは、指定したパスにフォルダを作成する際に、途中のフォルダが存在しない場合でも、自動的にそれらのフォルダも作成してくれるというものです。
例えば、「md /d C:\Users\YourName\Documents\Projects\2024\NewReport」というコマンドを実行したとします。もし、「C:\Users\YourName\Documents\Projects\2024」というパスが存在しなかったとしても、「md /d」オプションが付いていることで、これらのフォルダもまとめて作成してくれるのです。これは、複雑な階層構造のフォルダを一度に作りたい場合に、手作業で一つずつフォルダを作成する手間を省けるため、非常に便利です。
「md」コマンド単体では、指定したパスにフォルダが存在しない場合、エラーが発生してしまいます。しかし、「/d」オプションを使うことで、そのようなエラーを防ぎ、意図した通りのフォルダ構造を簡単に構築できます。これは、定期的なレポート作成や、バックアップ用のフォルダ構成を作成する際などに役立つでしょう。
| オプション | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| /d | 指定したパスにフォルダが存在しない場合、それらも自動的に作成する | md /d C:\NewFolder\SubFolder |
cd コマンドで「ドライブ」を移動する
「cd」コマンドは、フォルダ内を移動するだけでなく、異なるドライブ(Cドライブ、Dドライブなど)間を移動する際にも使われます。これは、コンピュータに複数のストレージ(HDDやSSD)が搭載されている場合や、USBメモリなどを接続している場合に特に重要になります。
例えば、現在Cドライブにいる状態で、Dドライブに移動したいとしましょう。その場合、単純に「cd D:」と入力するだけでは、Dドライブには移動できません。ドライブを移動するには、まずドライブ名を指定して、そのドライブのルートディレクトリ(一番上の階層)に移動する必要があります。具体的には、「D:」と入力してEnterキーを押すことで、Dドライブに切り替わります。その後、必要であれば「cd フォルダ名」でDドライブ内の特定のフォルダへ移動します。
このドライブ移動の機能は、異なるドライブに保存されているファイルにアクセスしたい場合に不可欠です。例えば、音楽ファイルがDドライブに、ドキュメントファイルがCドライブにある場合、それぞれのドライブを切り替えながら作業を進めることになります。コマンドラインでの作業効率を高めるためには、このドライブ移動の仕方をしっかりと理解しておくことが重要です。
- ドライブ名を指定して(例: D:)、そのドライブのルートディレクトリに移動する
- その後、「cd フォルダ名」で目的のフォルダへ移動する
cd コマンドの「/d」オプション(Windows限定)
Windowsのコマンドプロンプトには、「cd」コマンドに「/d」というオプションがあります。このオプションは、ドライブを移動すると同時に、指定したディレクトリへ移動してくれるという、非常に便利な機能です。
通常、CドライブからDドライブの特定のフォルダへ移動したい場合、まず「D:」と入力してDドライブに移動し、その後「cd フォルダ名」と入力する必要があります。しかし、「cd /d D:\フォルダ名」のように「/d」オプションを使うと、この二つの操作を一度に行うことができます。これにより、ドライブ間の移動とフォルダ移動の手間が省け、作業時間を短縮することができます。
この「/d」オプションは、Windows特有の機能ですので、macOSやLinuxなどの他のオペレーティングシステムでは使用できません。Windows環境でコマンドライン操作を行う際には、この「/d」オプションを覚えておくと、作業効率が格段に向上します。
| オプション | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| /d | ドライブを移動すると同時に、指定したディレクトリへ移動する | cd /d D:\MyFiles |
「md」と「cd」は、コマンドライン操作の基本中の基本であり、これらのコマンドを使いこなすことで、コンピュータ内のファイルやフォルダを効率的に管理できるようになります。新しいフォルダを作成する「md」と、そのフォルダへ移動する「cd」。この二つのコマンドの役割をしっかりと理解し、積極的に活用してみてください。