「LNG」と「LPG」、どちらも燃料として使われるガスですが、一体何が違うのでしょうか？この二つの違いを知ることは、エネルギーの選択肢を理解する上でとても大切です。lng と lpg の違いを分かりやすく説明していきます。
LNGとLPG、何が違うの？基本をおさえよう
lng と lpg の違いを理解するには、まずそれぞれの「正体」を知ることが重要です。簡単に言うと、LNGは「液化天然ガス」、LPGは「液化石油ガス」のこと。どちらも気体の状態では広がってしまうため、扱いやすくするために液体の状態にしているのです。
その液化させるための「温度」と「圧力」が、lng と lpg の大きな違いを生んでいます。LNGは、天然ガスをマイナス162℃という超低温まで冷やして液化します。一方、LPGは、常温で約2～8気圧という比較的低い圧力で液化できるのが特徴です。
この液化条件の違いは、それぞれの用途や運搬方法に大きく影響します。
- LNG : 超低温での保管・輸送が必要なため、専門の設備を備えたタンカーやパイプラインで運ばれます。
- LPG : 比較的低い圧力で液化できるため、タンクローリーなどで家庭や工場に届けやすいという利点があります。
主成分の違い：自然の恵みか、精製されたものか
lng と lpg の違いは、その主成分にもあります。LNGの主成分は「メタン」がほとんどを占めており、天然ガス田から採掘されたものをそのまま利用します。いわば、自然の恵みと言えるでしょう。
一方、LPGは、石油を精製する過程で発生する「プロパン」や「ブタン」が主成分です。石油製品の一部として得られるため、石油の供給状況に影響を受けることがあります。
この主成分の違いは、燃焼時の性質にも影響を与えます。
| ガス名 | 主成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| LNG | メタン | クリーンな燃焼、CO2排出量が少ない |
| LPG | プロパン、ブタン | 燃焼熱量が高く、火力調整がしやすい |
貯蔵・輸送方法の違い：どうやって運ばれてくる？
lng と lpg の違いは、貯蔵や輸送方法にもはっきりと表れます。LNGは、先ほども触れたように、マイナス162℃という極低温で液化されるため、特殊な断熱材が使われた専用のタンクで保管・輸送されます。これは、温度を維持するのが非常に難しく、専門的な技術と設備が必要だからです。
その運搬方法も独特です。
- LNGタンカー : 特殊な構造を持つ船で、大量のLNGを海上輸送します。
- パイプライン : 近距離であれば、地下に埋められたパイプラインを通して直接供給されることもあります。
対照的に、LPGは、常温・低圧で液化できるため、より身近な方法で運ばれます。
- タンクローリー : 一般的なトラックのような形をしたタンクローリーで、家庭や工場、スタンドなどに配送されます。
- ガスボンベ : 家庭で使われるカセットコンロ用のボンベや、プロパンガスのボンベも、LPGを充填したものです。
用途の違い：どこで使われているの？
lng と lpg の違いは、その利用される場面にも影響を与えています。LNGは、主成分がメタンであること、そして燃焼時にCO2の排出量が比較的少ないことから、主に大規模な発電所の燃料として利用されています。都市ガスとしても供給されており、私たちの家庭での給湯や暖房、調理にも使われています。
LNGが使われる主な場所は以下の通りです。
- 発電所 : 大量の電力を生み出すために不可欠な燃料です。
- 都市ガス : 各家庭にパイプラインで供給され、日常生活を支えています。
- 産業用燃料 : 工場など、大規模な熱源が必要な場所でも使われます。
一方、LPGは、その携帯性や火力調整のしやすさから、より身近な場面で活用されています。
- 家庭用燃料 : プロパンガスとして、都市ガスが届かない地域での給湯、暖房、調理に使われています。
- 自動車燃料（LPG車） : 環境性能に優れ、低コストであることから、タクシーや一部の商用車などで利用されています。
- カセットボンベ・カセットコンロ : アウトドアや災害時にも役立つ、手軽な燃料源です。
価格の変動要因：何によって値段が変わる？
lng と lpg の違いは、価格にも影響します。まず、LNGの価格は、国際的な天然ガス市場の動向に大きく左右されます。世界の需給バランスや、産出国との長期契約などが価格に影響を与える要因となります。
LNGの価格を左右する主な要因は以下の通りです。
- 原油価格 : 天然ガスと原油の価格は連動する傾向があります。
- 需給バランス : 世界的な需要の増減が価格を変動させます。
- 産出国や輸送コスト : 輸送距離やインフラ整備の状況も価格に影響します。
LPGの価格は、主に石油の価格変動や、国内の需給バランスに影響を受けます。
- 原油価格 : 石油精製過程で得られるため、原油価格の影響を直接受けます。
- 国内需給 : 家庭での需要や、産業界での需要によって価格が変動します。
- 為替レート : 輸入に頼る部分もあるため、為替レートの変動も価格に影響します。
環境への影響：クリーンなのはどっち？
lng と lpg の違いは、環境への影響という点でも注目されます。LNGの主成分であるメタンは、燃焼させた際に、LPGに比べてCO2（二酸化炭素）の排出量が少ないとされています。また、硫黄酸化物（SOx）や窒素酸化物（NOx）といった大気汚染物質の排出も少ないため、環境負荷が低い燃料として注目されています。
LNGの環境面での特徴をまとめると以下のようになります。
- CO2排出量の抑制 : 他の化石燃料に比べてCO2排出量が少ない。
- 大気汚染物質の低減 : SOxやNOxの排出が少ない。
- クリーンな燃焼 : 燃焼時に煤（すす）が発生しにくい。
LPGも、他の化石燃料に比べれば比較的クリーンな燃料ですが、LNGと比較するとCO2排出量はやや多くなります。それでも、現代社会において重要な役割を果たしています。
- 比較的クリーンな燃焼 : 硫黄分がほとんど含まれていないため、SOxの排出はありません。
- CO2排出量 : LNGよりは多いものの、石炭や石油に比べると少ない。
lng と lpg の違いは、エネルギーの選択肢を考える上で非常に重要です。それぞれの特徴を理解し、目的に合った燃料を選ぶことが、より良いエネルギー利用につながります。