雇用 保険 と 失業 保険 の 違い を スッキリ解説!

「雇用保険」と「失業保険」、なんとなく似ているようで、実際にはどう違うのか、迷っている人もいるかもしれません。この記事では、 雇用保険 と 失業 保険 の 違い を分かりやすく、そして詳しく解説していきます。

「雇用保険」ってそもそも何?

まず、雇用保険についてお話ししましょう。雇用保険は、働く人が万が一、仕事で困ったことが起きたときに、みんなで助け合えるように作られた国の制度です。具体的には、お給料から少しずつ保険料が引かれて、みんなの保険料が積み立てられています。

この積み立てられた保険料は、色々な目的で使われます。

  • 仕事で急に失業してしまった人への生活費の支援
  • 新しい仕事を見つけるための職業訓練や相談
  • 育児や介護のために休業する人への給付
  • スキルアップのための教育訓練費の支援
というように、働く人の生活やキャリアを幅広くサポートしているんです。 働くすべての人にとって、雇用保険は大切なセーフティネットなのです。

表にまとめると、雇用保険がカバーする範囲は、失業時だけでなく、もっと広範囲にわたることがわかります。

主な給付・支援 対象となる状況
基本手当(いわゆる失業給付) 会社都合や自己都合による離職
育児休業給付金 育児のために休業する場合
介護休業給付金 介護のために休業する場合
教育訓練給付金 スキルアップのための教育訓練を受講する場合
このように、雇用保険は単に失業した時だけではなく、働く上での様々なライフイベントに対応しているのが特徴です。

「失業保険」は、雇用保険の一部!

では、失業保険とは何でしょうか。実は、先ほど説明した「雇用保険」の中の、失業した人に対して支払われる「基本手当」のことを、一般的に「失業保険」と呼んでいるのです。つまり、 失業保険は雇用保険の、ごく一部の給付金 ということになります。

失業保険(基本手当)をもらえるのは、以下のような条件を満たした人です。

  1. ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申し込みをしていること
  2. すぐに働ける能力があるのに、職業に就くことができない状態であること
  3. 離職日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上あること(倒産・解雇などやむを得ない理由で離職した場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あればOK)
これらの条件を満たしているかどうかで、失業保険がもらえるかどうかが決まってきます。

失業保険(基本手当)の金額や期間は、人によって異なります。

  • 離職する前の6ヶ月間に支払われた給料の総額
  • 年齢
  • 雇用保険の被保険者であった期間
これらの要素が組み合わさって、もらえる金額や期間が決まるのです。

失業保険(基本手当)をもらっている期間は、ただ待っているだけではありません。

  1. ハローワークに通って、求職活動をしていること
  2. 面接を受けたり、応募書類を作成したりしていること
  3. 職業訓練に参加したり、資格取得を目指したりしていること
このように、積極的に次の仕事を見つけるための活動が求められます。

「雇用保険」の全体像と「失業保険」の位置づけ

雇用保険は、働く人全体を支えるための大きな枠組みです。その中で、万が一、職を失ってしまった人への緊急的な支援として用意されているのが、失業保険(基本手当)なのです。 雇用保険という親箱の中に、失業保険という子箱がある 、とイメージすると分かりやすいかもしれません。

雇用保険には、失業保険以外にも様々な給付があります。例えば、育児休業給付金や介護休業給付金は、働いている人がライフイベントに直面したときに、一時的に収入が減るのを補ってくれるものです。また、教育訓練給付金は、新しいスキルを身につけたい人を応援してくれます。

  • 育児休業給付金
  • 介護休業給付金
  • 傷病手当金(※これは健康保険の制度です。混同しないように注意しましょう)
  • 教育訓練給付金
これらの給付は、失業していない人でも受け取れる可能性があります。

失業保険(基本手当)の受給資格や期間は、雇用保険の加入期間や離職理由によって細かく定められています。

  1. 自己都合退職の場合
  2. 会社都合退職の場合
  3. 倒産や解雇による離職の場合
それぞれで、受給できるまでの待期期間や給付期間が変わってくるのです。

雇用保険の加入期間は、原則として離職する日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上あることが条件です。ただし、特定受給資格者や特定理由離職者(会社都合や倒産・解雇など、やむを得ない理由で離職した人)の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給資格が得られます。 これは、働く人の生活を守るために、柔軟な対応がなされている証拠です。

失業保険(基本手当)は、ハローワークで求職の申し込みをしてから、一定の待期期間を経て支給が開始されます。

離職理由 待期期間
自己都合退職 7日間+給付制限期間(通常2ヶ月または3ヶ月)
会社都合・倒産・解雇など 7日間
この待期期間や給付制限期間があるため、すぐに給付が開始されるわけではない点に注意が必要です。

「雇用保険」の加入期間と「失業保険」の受給資格

雇用保険は、一定期間働いている人であれば、基本的に全員が加入することになります。この加入期間が、失業保険(基本手当)を受け取るための重要な条件となるのです。 加入期間が長ければ長いほど、より手厚い保障を受けられる可能性が高まります。

失業保険(基本手当)の受給資格を得るためには、原則として、離職する日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上必要です。

  • 被保険者期間とは、雇用保険に加入していた月数のことです。
  • アルバイトやパートでも、一定の条件を満たせば加入できます。
  • 離職理由によって、この期間が短縮される場合もあります。
例えば、病気や怪我で働けなくなった場合など、やむを得ない理由での離職は、受給資格の条件が緩和されることがあります。

失業保険(基本手当)の給付日数や金額は、加入期間や年齢、離職理由によって細かく定められています。

  1. 雇用保険の加入期間
  2. 離職理由(自己都合か、会社都合かなど)
  3. 年齢
これらの条件に基づいて、ハローワークが計算します。一般的には、加入期間が長いほど、給付日数も多くなる傾向があります。

雇用保険は、失業したときだけでなく、働く人がキャリアアップを目指す場合や、育児・介護といったライフイベントと両立しながら働き続けられるようにも、様々な支援を行っています。 これは、働く人を長期的にサポートしたいという、雇用保険の考え方に基づいています。

失業保険(基本手当)は、あくまで「失業」という一時的な状況を乗り越えるための支援です。そのため、受給期間中には、積極的に再就職活動を行うことが義務付けられています。

  • ハローワークでの求職活動
  • 職業相談や紹介の利用
  • 面接への参加
これらの活動を怠ると、給付が打ち切られる可能性もあるので注意が必要です。

「雇用保険」がカバーする範囲の広さ

「失業保険」という言葉を聞くと、どうしても「仕事がなくなった時だけ」というイメージが強くなりがちですが、雇用保険はもっと広い範囲をカバーしています。 働く人の人生の様々なステージで、安心を提供してくれるのが雇用保険の役割です。

例えば、育児休業給付金や介護休業給付金は、仕事と家庭の両立を支えるための大切な制度です。

  1. 育児休業給付金:子供が1歳になるまで(条件によっては延長あり)の休業期間中に、賃金の一部が支給されます。
  2. 介護休業給付金:家族の介護のために休業する場合に、賃金の一部が支給されます。
これらは、一時的に収入が減ってしまう期間の生活を助けてくれます。

また、スキルアップを応援する教育訓練給付金も、雇用保険の重要な役割の一つです。

  • 対象となる講座を受講し、修了した場合に、受講費用の一定割合が支給されます。
  • キャリアチェンジやスキルアップを目指す人にとって、大きな助けとなります。
これは、失業していない人でも利用できる制度です。

雇用保険の被保険者期間は、失業保険(基本手当)だけでなく、これらの様々な給付を受け取るためにも重要になってきます。 加入期間が長ければ長いほど、将来的な安心感も高まる と言えるでしょう。

雇用保険は、事業主が従業員を雇用している限り、原則として加入が義務付けられています。

  1. 事業主の責任
  2. 労働者の権利
これは、働く人を守るための国の仕組みなのです。

「失業保険」は、あくまで「基本手当」のこと

ここまで見てきたように、「雇用保険」は国の社会保険制度の総称であり、その中の「基本手当」が一般的に「失業保険」と呼ばれているものです。 「失業保険」という言葉は、便宜上使われることが多い ので、正確には「基本手当」と理解しておくと良いでしょう。

失業保険(基本手当)の申請手続きは、お住まいの地域のハローワークで行います。

  • 離職票などの必要書類を準備する
  • ハローワークで求職の申し込みをする
  • 受給説明会に参加する
これらの手続きを経て、晴れて受給資格者となります。

失業保険(基本手当)の受給額は、一般的に、離職する前の6ヶ月間の賃金の合計額を180で割った金額(基本手当日額)の、一定の割合(50%~80%)となります。

  1. 年齢によって、この割合が変わります。
  2. 上限額と下限額も設定されています。
給付される金額は、個々の収入状況によって異なります。

失業保険(基本手当)の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。

  • この1年間を過ぎてしまうと、たとえ残日数があったとしても、受給できなくなります。
  • 病気や怪我、妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上働けない場合は、「受給期間の延長」の手続きが可能です。
給付期間の管理も大切です。

まとめ:雇用保険と失業保険の違いを理解しよう

「雇用保険」は、働く人を守るための大きな制度全体を指し、「失業保険」はその中の、失業した人への生活支援である「基本手当」のことだと理解いただけたでしょうか。 この二つの言葉の違いを正しく理解することは、いざという時に適切な支援を受けるために非常に重要です。

雇用保険は、失業時だけでなく、育児や介護、スキルアップなど、働く人の人生の様々な局面でサポートを提供しています。

  • 雇用保険:働く人全体を支える大きな枠組み
  • 失業保険(基本手当):雇用保険の一部で、失業した人への生活費支援
このように、雇用保険の広範な恩恵を理解しておくことは、将来の安心につながります。

もし、あなたが失業してしまった場合、または将来的に失業する可能性がある場合、雇用保険の制度をしっかり把握しておくことが大切です。

  1. ハローワークの情報を確認する
  2. 自身の加入期間や離職理由を確認する
  3. どのような支援が受けられるのかを理解する
これらの準備をしておくことで、もしもの時にも慌てず、適切な手続きを取ることができます。

雇用保険は、私たち働く者にとって、なくてはならないセーフティネットです。 この制度を正しく理解し、活用していくことで、より安心して働くことができる でしょう。

雇用保険と失業保険の違いを理解することで、いざという時に、ご自身の状況に合った支援をスムーズに受けられるようになります。この機会に、ご自身の雇用保険の加入状況や、受けられる可能性のある給付について、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

この記事が、雇用保険と失業保険の違いについての理解を深める一助となれば幸いです。働くすべての人々が、安心して生活を送れるように、これらの制度はこれからも私たちの生活を支え続けてくれるでしょう。

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