菌 血 症 と 敗血症 の 違い を 知ろう! 知って安心、知って納得

「菌血症(きんけっしょう)」と「敗血症(はいけつしょう)」、この二つの言葉、なんとなく似ているけれど、実は重要な違いがあります。 菌血症と敗血症の違い を正しく理解することは、病気への理解を深める上でとても大切なんです。

菌血症とは? 体に菌が入った状態

まず、菌血症についてお話ししましょう。これは、文字通り「菌が血の中に入っている状態」のことです。風邪をひいたときのように、体の中に細菌やウイルスが入ってくることはよくありますよね。通常、私たちの体は免疫力でこれらの敵をやっつけてくれます。しかし、何らかの原因で菌が血管の中に入り込んでしまうことがあります。これが菌血症です。

菌血症自体は、必ずしも重篤な病気とは限りません。例えば、歯科治療の後や、小さな傷から菌が入り込んで一時的に血中に菌が見つかることもあります。この場合、体の免疫力がしっかり働いていれば、菌はすぐに退治され、特別な症状が出ないことも多いのです。しかし、注意が必要なのは、この菌血症がさらに進行してしまう可能性があるということです。

菌血症の状態では、以下のようなことが考えられます。

  • 原因となる菌の種類
  • 菌の量
  • 体の免疫力の状態

これらのバランスが崩れると、菌血症からさらに深刻な状態へと移行するリスクが高まります。

敗血症:菌血症からの危険な展開

では、敗血症とは何でしょうか? 敗血症は、菌血症がさらに進んだ、非常に危険な状態を指します。菌が血中に入り込むだけではなく、その菌に対して体がおこす「過剰な反応」が全身に広がってしまうことが原因です。

体は、入ってきた菌を攻撃するために「サイトカイン」という物質を放出します。これがうまく働けば、菌をやっつけてくれるのですが、敗血症になると、このサイトカインが過剰に放出されすぎてしまうのです。その結果、血管が傷ついたり、血液の流れが悪くなったり、体のあちこちの臓器にダメージが及んでしまいます。まるで、敵を倒そうとしたら、自分たちの町まで壊してしまうようなイメージです。

敗血症の主な特徴は以下の通りです。

症状 説明
発熱・悪寒 体が菌と戦っているサイン
呼吸困難 肺に影響が出ることがある
意識障害 脳への血流が悪くなることがある

菌血症と敗血症の決定的な違い

菌血症と敗血症の最も大きな違いは、体の「反応」にあります。菌血症は、あくまで「菌が血中にいる」という状態そのものを指します。一方、敗血症は、その菌に対して体が起こした「制御不能な炎症反応」によって、全身の臓器に障害が起きている状態なのです。

例えるなら、

  1. 菌血症: 体に侵入した敵(菌)を発見した状態。
  2. 敗血症: 敵(菌)を倒そうと大軍(免疫細胞やサイトカイン)を送り込んだ結果、戦いが激化しすぎ、味方(臓器)まで傷つけてしまう状態。

このように、菌血症は敗血症の「きっかけ」や「前段階」となることがありますが、菌血症だからといって必ず敗血症になるわけではありません。

菌血症の可能性のあるサイン

菌血症のサインは、人によって様々ですが、一般的には以下のような兆候が見られることがあります。

  • 原因不明の発熱
  • 悪寒(身震い)
  • 体のだるさ、倦怠感
  • 食欲不振

これらの症状は、風邪など他の病気でも起こりうるため、自己判断は禁物です。もし、これらの症状が続く場合や、悪化するようなら、早めに医療機関を受診することが大切です。

敗血症の危険な兆候を見逃さない

敗血症は、命にかかわる可能性のある非常に危険な病気です。そのため、その兆候を早期に発見することが何よりも重要です。敗血症の兆候としては、菌血症の症状に加えて、以下のようなものが挙げられます。

  1. 血圧の低下: 血管がダメージを受け、血液を全身に送り出す力が弱まる
  2. 臓器の機能不全: 腎臓や肝臓、肺などの働きが悪くなる
  3. 意識の変化: ぼーっとする、混乱するなど、普段と違う様子になる
  4. 呼吸が速くなる、苦しそうになる: 肺に酸素が十分に行き渡らなくなる

これらの症状は、敗血症が進行しているサインであり、緊急の対応が必要です。

菌血症と診断されたら

もし、検査で菌血症と診断された場合、医師はまず原因となっている菌の種類を特定しようとします。その上で、その菌に効果のある抗生物質(ばい菌をやっつけるお薬)を投与することが一般的です。

菌血症の対応について、まとめると以下のようになります。

  • 原因菌の特定: 血液検査などで原因菌を調べる
  • 抗生物質による治療: 原因菌に合った抗生物質を使用
  • 経過観察: 体の反応を見ながら、治療の効果を確認

この段階で適切な治療が行われることで、敗血症への進行を防ぐことができます。

敗血症と診断されたら、迅速な対応が鍵

敗血症と診断された場合は、一刻も早い対応が求められます。治療は、

  1. 強力な抗生物質の投与: 広範囲の菌に効く、強力な抗生物質を早急に開始します。
  2. 輸液療法: 血圧を維持するために、点滴で水分や栄養を補給します。
  3. 集中治療室(ICU)での管理: 呼吸や心臓などの生命維持装置が必要になる場合があるため、専門的な管理が必要となります。

敗血症は、時間との戦いです。早期発見・早期治療が、予後を大きく左右します。

まとめ:菌血症と敗血症の違いは、体の「反応」

菌血症と敗血症の違いは、菌が血中にいるかいないかという「状態」だけでなく、その菌に対して体がどのような「反応」を起こしているかにあります。菌血症は、菌がいる状態。敗血症は、その菌に対して体が過剰な反応を起こし、全身の臓器がダメージを受けている危険な状態なのです。この二つの違いを理解して、体の変化に気をつけていきましょう。

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