「狛犬（こまいぬ）」と「獅子（しし）」、どちらも神社の入り口などで見かける、力強く守り神のような存在ですよね。でも、この二つ、一体何が違うのでしょうか？実は、見た目は似ているようで、その成り立ちや役割には明確な違いがあります。今回は、この「狛犬 と 獅子 の 違い」について、分かりやすく、そして楽しく解説していきます。
見た目の違い：どっちがどっち？簡単見分け方
まず一番分かりやすいのは、見た目です。狛犬は、文字通り「犬」のような姿をしていることが多いです。対して獅子は、よりライオンに近い、立派なたてがみを持つ姿で表現されることが一般的です。しかし、時代や地域によってデザインは多様化しており、見分けるのが難しくなるケースもあります。 この見た目の違いを理解することが、狛犬 と 獅子 の 違いを知る第一歩となります。
- 狛犬： 犬の顔立ち、丸い目、太い眉。
- 獅子： ライオンのような顔立ち、立派なたてがみ、鋭い目つき。
ただし、これらの特徴はあくまで一般的な傾向であり、例外も存在することを覚えておきましょう。例えば、片方の狛犬が口を開けて「阿（あ）」、もう片方が口を閉じて「吽（うん）」を表しているなど、ペアで配置されることが多いのも狛犬の特徴です。
| 特徴 | 狛犬 | 獅子 |
|---|---|---|
| 顔立ち | 犬に近い | ライオンに近い |
| たてがみ | あまり発達していない | 立派なたてがみを持つ |
起源と伝来：どこから来たの？
狛犬の起源は、古代オリエント地方、特にペルシャにまで遡ると言われています。そこからシルクロードを通って、仏教と共に中国、そして日本へと伝わったと考えられています。当初は「獅子」として伝わったものが、日本で独自に変化し、「狛犬」と呼ばれるようになったという説が有力です。
- 古代オリエント（ペルシャなど）で魔除けとして存在。
- 仏教と共に中国へ伝来し、「獅子」として寺院の守護獣となる。
- 日本へ伝来し、寺院や貴族の邸宅などを守る存在となる。
- 次第に「狛犬」という名称が定着し、神社仏閣の守護獣として広く認識されるようになる。
つまり、元々は「獅子」という一種であったものが、日本で独自の進化を遂げ、「狛犬」という名前で親しまれるようになった、という流れなのです。
役割：何のためにそこにいるの？
狛犬も獅子も、基本的には「魔除け」「守護」という役割を担っています。神社の鳥居や本殿の脇、寺院の山門などに配置されるのは、邪悪なものや災いが、神聖な場所や人々を傷つけないように、強力な力で退けるためです。
- 魔除け： 悪い気や災いを寄せ付けない。
- 守護： 神聖な場所や人々を保護する。
- 権威の象徴： その場所が大切にされていること、力のある場所であることを示す。
どちらも、その場所に宿る神様や仏様を守る、非常に重要な存在なのです。
「阿吽」の呼吸：狛犬の特別な意味
狛犬の多くは、一対で向かい合って置かれています。その際、片方が口を開け、「阿（あ）」の音を表し、もう片方が口を閉じ、「吽（うん）」の音を表しています。これは、宇宙の始まりと終わり、万物の根源を示す仏教の教えである「阿吽」を表しており、 この「阿吽」の表現が、狛犬 を 獅子 の 違い として、より日本的な信仰と結びついた側面と言えるでしょう。
| 口の形 | 意味 |
|---|---|
| 開いている | 阿（あ） - 始まり、宇宙の根源 |
| 閉じている | 吽（うん） - 終わり、万物の終焉 |
この「阿吽」の形は、最初から存在したわけではなく、日本で独自に発展した表現方法と考えられています。
素材と造形：どんな素材で作られている？
狛犬や獅子は、様々な素材で作られています。一般的には、石や金属（青銅など）、木材が使われることが多いです。それぞれの素材によって、表情や質感、耐久性が異なります。
- 石造： 耐久性が高く、風雨にさらされても風格を増す。代表的な素材は花崗岩（かこうがん）や大理石。
- 金属製： 鋳造技術を用いて作られる。青銅製が多く、精緻な表現が可能。
- 木製： 比較的軽量で、細かな彫刻が施されることもある。寺院の内部など、雨風にさらされない場所で見られることも。
地域によっては、土でできたものや、 plaster（漆喰）で塗られたものなど、その土地ならではの素材や技法が見られます。
地域差と時代による変化：千差万別な姿
日本全国、そして時代によって、狛犬や獅子の姿は驚くほど多様です。これは、それぞれの地域や時代に合わせた職人の解釈や、流行が影響していると考えられます。
- 江戸時代： 写実的な表現から、よりデフォルメされた、ユニークな姿の狛犬が登場。
- 明治・大正時代： 西洋美術の影響を受けた、力強くも洗練されたデザインも見られる。
- 現代： 伝統を守りつつも、斬新なデザインの狛犬も制作されている。
例えば、独特な表情をした「変わり狛犬」や、動物以外のモチーフを取り入れたものなど、探してみると実に面白い発見があります。
まとめ：守護の想いを胸に
狛犬 と 獅子 の 違い は、見た目、起源、そして日本での独自の変化にありました。元々は一つであったものが、日本で「狛犬」として独自の進化を遂げ、魔除けや守護の役割を担ってきたのです。次に神社やお寺を訪れる際は、ぜひ狛犬や獅子の姿をじっくりと観察してみてください。きっと、それぞれの表情や佇まいから、そこに込められた人々の願いや想いを感じ取ることができるはずです。